下関ピアノ教室レトルピアノ

「マ・メール・ロワ」(M,60)1. 眠れる森の美女のパヴァーヌ ラヴェル

2021年4月11日 本番の演奏


大きい画面は、こちらからご覧ください。

小学3年(ビアノ歴3年11ヵ月) 講師の演奏です。
始めは、他の人が演奏する予定でしたが、急遽変更になりました。
本当は、もっとラベルらしい一曲を紹介したいところでしたが、
今の現状では、みんな手一杯で、すぐに出来るのこのぐらいの曲でした。
でも、綺麗な曲なので、上手に弾くのは、難しい。
彼女は、小さいながら、丁寧に弾いています。
この曲は、ラヴェル自身の連弾とスコアをもとに、音をつくりました。

印象派の音楽

ちいさな黒ん坊(L.114) ドビュッシー
「マ・メール・ロワ」(M,60)1. 眠れる森の美女のパヴァーヌ ラヴェル
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「マ・メール・ロワ」ラヴェル

解説

この曲は、1908年から1910年にかけて作曲されました。
33~35歳の作品です。
ラヴェルが「マザー・グース」を題材にして作曲した、ピアノ四手連弾の組曲です。
独奏用の楽譜もあります。

ラヴェルは、友人であるゴデブスキ夫妻の2人の子供、
ミミとジャンのために作曲し、この姉弟に献呈しました。
ラヴェルは、生涯独身で、子供はいませんが、子供好きだったといいます。

「マ・メール・ロワ」は、1910年4月20日、
パリ・ガヴォーホールで開かれた独立音楽協会(SMI)の第1回演奏会において初演されました。
ミミとジャンが弾ければよかったのでしょうが、幼い姉弟が演奏するには難しかったため、
マルグリット・ロンの弟子、ジャンヌ・ルルーとジュヌヴィエーヴ・デュロニーが演奏しました。
「マ・メール・ロワ」は、管弦楽組曲およびバレエ音楽にも編曲されています。

組曲「マ・メール・ロワ」内容
第1曲 眠れる森の美女のパヴァーヌ(Pavane de la belle au bois dormant)
   シャルル・ペローの童話集『マ・メール・ロワ(マザーグース)』の「眠れる森の美女」から。
第2曲 親指小僧(Petit Poucet)または「一寸法師」
   シャルル・ペローの童話集『マ・メール・ロワ(マザーグース)』の「眠れる森の美女」から。
第3曲 パゴダの女王レドロネット(Laideronnette, imperatrice des pagodes)
   ドーノワ伯爵夫人マリー・カトリーヌ(1650年頃 - 1705年)の『緑の蛇』から。
   パゴダとは塔を意味し、そこに住む中国製の首振り陶器人形の物語。
第4曲 美女と野獣の対話(Les entretiens de la belle et de la bete)
   マリー・ルプランス・ド・ボーモン(1711年 - 1780年)の『子供の雑誌、道徳的な物語』から「美女と野獣」に基づく。
   評論家ロラン・マニュエルは、エリック・サティの「ジムノペディ」の影響を指摘している。
第5曲 妖精の園(Le jardin feerique)
   シャルル・ペローの童話集『マ・メール・ロワ(マザーグース)』の「眠れる森の美女」から。
   眠りについた王女が王子の口づけで目を覚ますシーン。

「親指小僧」「パゴダの女王レドロネット」「美女と野獣の対話」には、原作から短文が引用・付記されている。

組曲版(M.60)
1911年初頭に編曲されました。
管弦楽組曲版は、連弾組曲をそのまま管弦楽編曲したもので、演奏時間は約17分。

バレエ版(M.62)
1911年から翌1912年初頭にかけて編曲。
テアトル・デザール(芸術劇場)の支配人、ジャック・ルーシェからの依頼によるものです。
バレエ版では、曲順を入れ替え、新たに、前奏曲、紡車の踊り、
複数の間奏曲を付け加える形で編曲されています。
初演は1912年1月28日
ラヴェル自身の台本、ジャンヌ・ユガール夫人の振付、ガブリエル・グロヴレーズの指揮により行われました。
演奏時間は約27分。
バレエ版は依頼主のジャック・ルーシェに献呈されています。

前奏曲(Prelude)
(間奏)
第1場 紡車の踊りと情景(Danse du rouet et scene)
「眠れる森の美女」の情景
第2場 眠れる森の美女のパヴァーヌ(Pavane de la belle au bois dormant)
(間奏曲)
第3場 美女と野獣の対話(Les entretiens de la belle et de la bete)
(間奏曲)
第4場 親指小僧(Petit Poucet)
(間奏曲)
第5場 パゴダの女王レドロネット(Laideronette, imperatrice des pagodes)
(間奏曲)
終曲 妖精の園(Le jardin feerique)

「眠れる森の美女」は、チャイコフスキー版も、有名です。

シャルル・ペローの童話集『マ・メール・ロワ』

「マ・メール・ロワ」は、フランス版の「マザーグース」です。
日本にも、昔話はありますが、
昔話は、最初は本ではなく、口伝えで、伝えられていくものです。

ヨーロッパでも、当時宮廷では、女性たちのあいだで、童話を収集したり、
自分で書いたりすることがはやっていました。

最初にマザーグースの話を集めたのは、シャルル・ペローです。
ペローは17世紀後半に活躍したフランスの詩人、童話作家です。(1628年-1703年)
若いころは、ルイ14世の宮廷で、文学や芸術関係の仕事をしていました。
そんな彼を有名にしたのが、
1697年に出版した『寓意のある昔話、またはコント集~がちょうおばさんの話』 という本です。
69歳の時でした。
この本には民間伝承をまとめた8つのおとぎ話が入っています。

『マ・メール・ロワ』
Le Petit Chaperon rouge (赤ずきん)
Le Chat botte (長靴をはいた猫)
La Barbe Bleue (青ひげ)
La Belle au bois dormant (眠れる森の美女)
Les Fees (仙女たち)
Cendrillon, ou la Petite Pantoufle de verre (シンデレラ)
Riquet a La houppe(巻き毛のリケ)
Le Petit Poucet (親指小僧・親指太郎)

この本に入っている話のほとんどは、王族や貴族は、知っている話です。
すべて、口頭で伝えられてきからです。
これを童話として、文字に表したところに彼の功績があります。

「赤ずきんちゃん」「眠れる森の美女」「シンデレラ」も
みんな有名な話ですね。
私たちが、知っているのは、「グリム童話」の方です、
でも。グリム兄弟が民話を収集した童話集をだしたのは、ペローの時代から100年以上あとのことです。

「眠れる森の美女」シャルル・ペロ版

「眠れる森の美女」の物語は、だれでも知っている童話だと思います。
ヨーロッパの古い民話・童話で、私たちがよく知っているのは、
グリム童話の「茨姫」が、元になっていると思います。

グリム童話版は、ペロー版の話が口承で伝わったものなので、
大筋は、同じですが、少し違っています。

ペロー版での大きな違いは、お姫様は、ひとりで目を覚まします。
そして、お姫さまが王子と結婚したあとの話があります。
それによると、王女は2人の子供をもうける。
しかし、王子の母である王妃は人食いであり、王女と子供を食べようとする。
そこを王子が助け、王妃は自分の悪行が息子にばれて気が狂い自殺してしまう。
といった内容です。

ペロー版は、子供向けの童話ではなく、女性向けの少し怖い話となっています。
なので、最後に教訓が書かれています。
赤ずきんでは、こんな教訓が・・・

「馴れ馴れしくて、愛想がよくて、穏やかで、
若いお嬢さんたちのあとを追いまわし、
家のなか、閏房のなかにまで付いてきたりするものです。
ああ、しかし、知らない人はいないでしょう、
そういうやさしげな狼こそ、あらゆる狼のなかで
もっとも危険な狼だということを。」

シャルル・ペローのこの本は、日本語版で読むことができます。
眠れる森の美女―シャルル・ペロー童話集―(新潮文庫)
村松潔/訳

ラヴェルの作品番号

ラヴェルの作品目録番号は、音楽学者マルセル・マルナによって付けられたものです
(M.)で、あらわされます。
作品番号は完成された年代(及び日付)で構成されています。
一般的にラヴェルの作品番号は知られていません。

ジョゼフ・モーリス(モリス)・ラヴェル(フランス)
1875年3月7日 - 1937年12月28日 「管弦楽の魔術師」と呼ばれる

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