下関ピアノ教室レトルピアノ

「ユダス・マカベウス」HWV,63より「見よ、勇者は帰る」ヘンデル

2021年4月11日 本番の演奏


大きい画面は、こちらからご覧ください。

小学3年(ピアノ歴半年) 講師の演奏です。
初めての発表会です。
初めは、他の人が演奏するはずでしたが、急に出られなくなったので、
彼女に弾いてもらいました。
とても、頑張り屋さんなので、始めたばかりなのに、ここまで弾けるようになりました。
この曲は、原曲のスコアをもとに、エレクトーン曲のデータを変えて、
アレンジしました。なかなか大変でした。
なので、しっかり取り組む人に、弾いてほしい一曲でした。
勇者をたたえる曲だからです。

バロック時代の音楽

管弦楽組曲 BWV.1068 H.545第三番「ガボット」バッハ
調子のよい鍛冶屋 HWV.430 ヘンデル
見よ、勇者は帰る HWV,63 ヘンデル
●バロック時代の音楽について
ソロ曲・プチ解説と作曲家年表
2021年発表会top

「ユダス・マカベウス」HWV,63より「見よ、勇者は帰る」ヘンデル

解説

『見よ、勇者は帰る』は、ヘンデル作曲のオラトリオ「ユダス・マカベウス Judas Maccabaeus」に登場するコーラスです。
日本では、運動会や競技などの表彰式のBGMとして有名ですね。
なぜ、この曲が、表彰式に合っているのか?使われるのか?
作曲された背景を知ると、納得できます。

オラトリオとは、日本では「聖譚曲」と呼ばれますが、
1640年頃、イタリアで始まったクラシック音楽における楽曲の種類です。
宗教的な題材による歌詞をもち,独唱,重唱,合唱,管弦楽のための総合的で大規模な音楽作品です。
オペラとの違いは、所作,衣装,舞台装置を伴わないことです。
16世紀後半にローマでフィリッポ・ネリが、祈祷のための場所(オラトリオ)での礼拝にこの種の音楽を用いたことから、
そう呼ばれるようになりました。

このオラトリオは、イギリスの宗教戦争が関係しています。
「ジャコバイトの反乱」です。
ヘンデルは、当初劣勢だったイングランドの奮起を図るべく、オラトリオ「ユダス・マカベウス」を作曲し始めた。
台本はトマス・モーレルによるものです。

17世紀後半のイギリスでは、名誉革命によってカトリック教徒のジェームズ2世が退位し、
プロテスタントのメアリー女王が即位しましたが、スコットランドを中心に、
カトリック勢力はその後もジェームズ2世の血統に属するステュアート家の復興を目指しました。
(この勢力をジャコバイトという)

名誉革命で王位を追われたジェームズ2世の孫ボニー・プリンス・チャーリーは
1745年にグレンフィナンで反乱の旗を揚げ、同年9月には首都エディンバラを陥落し、
一時、イングランド軍が、劣勢になります。

そこで、オラトリオ「ユダス・マカベウス」が書かれたのです。
1746年4月のカロドン・ミュアの戦いでイングランド軍の圧倒的兵力で勝利をつかみます。
勝利が確定すると
この戦いを指揮した活躍したカンバーランド公爵ウィリアム・オーガスタスを讃えるセリフを台本に書き加え、
勝利を全面に、オラトリオの中で表現しました。

そして、オラトリオ「ユダス・マカベウス」 は、
1747年4月にロンドン中心部のコヴェント・ガーデン(ロイヤル・オペラハウス)で初演されました。

「見よ勇者は帰る」(第3部、第58曲)は、初演時には存在せず
1750年の再演時に別なオラトリオ『ヨシュア』のために書かれた曲を借用したものです。

欧米では、スイスの牧師エドモンド・ルイス・バドリーが1884年に歌詞をつけ、
賛美歌『Thine Is the Glory(栄光は汝に)』として広く歌われています。

「見よ、勇者は帰る」の演奏について・注目する点

歌詞の意味・今の時代に合ったアレンジ

「見よ、勇者は帰る」を和訳すると次のようになります

見よ 英雄の凱旋を!
トランペットを響かせ ドラムを打ち鳴らせ
饗宴の用意を 月桂冠を運べ
勝利の歌を彼に捧げよ

見よ 神の如き若者の歩みを!
フルートを吹き ダンスを率いよ
マートルの花輪と バラの編み込みで
英雄の額を神々しく飾るのだ!

見よ 英雄の凱旋を!
トランペットを響かせ ドラムを打ち鳴らせ
饗宴の用意を 月桂冠を運べ
勝利の歌を彼に捧げよ

見よ 英雄の凱旋を!
トランペットを響かせ ドラムを打ち鳴らせ


この様に、3番まである合唱曲です。
ですが、現在、私たちが耳にするのは、ブラバンドやオーケストラの
演奏が主になっています。
歌付きのものは、聴いたことがありません。

ここで、注目したいのが、楽譜です。
私たちが、普段目にする楽譜は、3番まで歌があっても、
メロディー譜は、一つです。
歌詞だけ、その下に増えていくという感じです。
ところが、この曲の楽譜を見ると、1番ごとに違う楽譜になっており、
メロディーが微妙に変わっています。
それに合わせて、ハーモニーも、若干変化しています。

特に、Bメロの部分は、私たちが知っているメロディーは、
2番のメロディーで、1番は違っています。

私も、今回、この曲をアレンジするうえで、
本来のメロディーは大切にしつつ、
3コーラスはしつこいので、2コーラスで仕上げてみました。
今とは違う、楽譜に大変悩まされました。
が、それなりに、納得できる感じにはしたので、聴いていただければと思います。

作品番号

HWVは、ベルント・バーゼルトがつけたハイドンの作品目録、作品整理番号です。
(独:Handel-Werke-Verzeichnis または Verzeichnis der Werke Georg Friedrich Handel)
『ヘンデルハンドブック』(Handel-Handbuch)全3巻(1978-1986年)におさめられています。
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
1685年2月23日 - 1759年4月14日 ドイツ出身で、イタリアで成功した後にイギリスで長年活躍し、イギリスに帰化

<< 前のページに戻る