下関ピアノ教室レトルピアノ

古典派の音楽

古典派の音楽とは・時代背景

西洋音楽史において、1750~1820年頃までを古典派といいます。
古典派は、バロック時代からロマン派への橋渡し的な役割をした時代です。
世の中の動きとして、フランス革命やイギリスの産業革命がおこり、
王室や貴族、教会が権力をふるっていた時代から、庶民の力が強まった時代です。
音楽も、貴族や教会だけのものだったのが、庶民に広がり始めます。

古典派の音楽の特長 1.音楽家の雇用、働き方の変化

雇われ音楽家から、独立したアーティストへ
バロック時代、音楽家は、貴族や教会に雇われて働く、家来でした。
この時代、音楽家は、貴族や教会に仕える「雇われ楽師」から、独立した「アーティスト」になっていきます。
雇われているときの仕事は、自分の意志ではなく、他人の意志で、作曲や演奏をする事でした。
晩餐会のための音楽を作るように、教会のミサのための曲を作るように。
主からの命令で、曲を作ったり、演奏します。
独立した音楽家も、依頼を受けて作曲したり演奏することはありますが、自分の意志で、作りたい音楽を書き、演奏するのです。
これが、一番の違いです。
といっても、急に変わったわけではありません。

ハイドンは、1790年、エステルハージ家のニコラウス侯爵が死去するまで、ずっと
お抱え楽団長でした。58歳にしてやっと、自由になったのです。
モーツアルトは、仕えた貴族はいませんが、それは就職活動に失敗したからで、おかげて、いつも貧乏でした。
とはいえ、ハイドンは、他家のために曲を書いたり、楽譜を出版したり、独立の兆しは見えていました。
モーツアルトも、時々、貴族の家に呼ばれたりしながら、自らコンサートをしたり、楽譜を出版したり、独立していたのです。

明らかに違うのは、ベートーベンです。
彼は、初めから独立したアーティストでした。
その違いは、服装を見るとわかります。ハイドンやモーツアルトは、礼服として正装し、かつらをかぶっています。
ベートーベンは、かつらは、かぶりません。
ベートーベンとハイドンの年の差は、38歳。この差は、大きい。
ハイドンが10代のとき、バッハ、ヘンデルは、生きていて活躍していたのですから。

古典派の音楽の特長 2.音楽の形式へのこだわり

ソナタ形式、交響曲の形式の完成
思想の影響
古典派の音楽の大きな特長は、形式にこだわったことです。
これは、18世紀のヨーロッパの思想。「啓蒙思想」に関係しています。
「啓蒙思想」とは、「合理的」「理性」を尊重する考え方。
簡単に言うと、あるがままに受け入れるという現実主義の考え方です。
わかりやすく、自然環境を例に挙げてみます。
雨がふる。月がかける。地震がくる。
みんな、自然現象ですが、宗教が絡むと、
「神様の怒りだ。神様の恵みだ。」という事になってしまいます。
そういう考え方をやめて、科学的根拠をみつけ、正しく理解しよう。としたのです。
音楽も、理論的な方向に向かい「和声学」もこのころに、発展していったのでしょう。
旋律が重なりあう対位法音楽から和声音楽に移行していきます。

古典派の時代に生まれた形式は、「ソナタ形式」「ロンド形式」です。
ソナタ形式は序奏・提示部・展開部・再現部・結尾部からなる音楽で、二つの主題が提示部・再現部に現れることを特徴とする音楽です。
ロンド形式は、ミルフィーユ状にABACADABAと、サンドイッチのように主題が挟まっていく形式です。
交響曲も、
第一楽章 ソナタ形式
第二楽章 緩徐楽章(変奏曲または複合三部形式) 調は第1楽章の近親調
第三楽章 メヌエット 主調(第1楽章と同じ調)
第四楽章 ソナタ形式またはロンド形式 主調または同主調
と、細かい決まりの上で、作曲されています。
ちなみに、第三楽章 メヌエットというのは、古典派になって追加されたものです。
これにより、交響曲の形式は、完成形となりました。

ところが、ベートーベンは、これを打ち破るチャレンジを繰り返します。
「第九」により、このチャレンジは、若手に引き継がれ、
ロマン派に、つながっていくことになるのです。

古典派の音楽の特長 3.楽器の発達 ピアノ

古典派の音楽の特長は、楽器の発達です。
古典派でも、楽器は発展していきました。
ホルンや木管楽器の実用化も著しいものがありました。
それに伴い音楽は「声楽中心」から「器楽中心」に移行していくことになりました。
何よりも、大きくく発達した楽器は、ピアノです。
フォルテピアノには「ニーペダル」が備えられており、
膝で操作するという制約はありますが、
現在のダンパーペダルに準ずる機能を使用することが可能になりました。
また、鍵盤数が増え、音域が広がったことにより、
表現の幅も劇的に増しています。
モーツアルトの時代より、ベートーベンの使っていたピアノは、より現代に近い形です。
たった、10年の間に、目まぐるしく進化しています。
ピアノの進化なくして音楽の進化はなかったといえるでしょう。
ロマン派の幕開けと、なっていくのです。

古典派の音楽をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
lヤマハ | 古典主義の音楽 - 音楽史について学ぶ
「古典派の音楽」の特徴を、誰でもわかるように解説 | 音楽力の泉
古典派音楽について知ろう

発表会で取り上げている音楽の解説

古典派の音楽

交響曲第94番ト長調 Hob.I:94「驚愕」第2楽章(ビックリシンフォニー) ハイドン
ピアノ協奏曲第5番 K.175(382) 第3楽章「ロンド」 モーツアルト
交響曲第9番ニ短調Op.25 より「喜びの歌」ベートーベン

その他の時代の音楽について

●バロック時代の音楽について
●古典派の音楽について
●ロマン派の音楽について
●印象派の音楽について
●近現代の音楽について
ソロ曲・プチ解説と作曲家年表
2021年発表会top

<< 前のページに戻る